本を読む人だけが手にするもの 藤原和博著 2015.10 日本実業出版社

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感想と覚書

序章 成熟社会では本を読まない人は生き残れない

第1章 本を読むと、何が得か?

第2章 読書とは「他人の脳のかけら」を自分の脳につなげること

第3章 読書は私の人生にこんなふうに役立った

第4章 正解のない時代を切り拓く読書

第5章 本嫌いの人でも読書習慣が身につく方法

序章 成熟社会では本を読まない人は生き残れない

「みんな一緒」という20世紀型から「それぞれ一人一人」という21世紀の成熟社会になった現在、読書の意味も変わってきている。

読書の価値は「趣味としての読書」から「人生を切り拓くための読書」へと変化している。21世紀になり国や社会に頼らず、個人の幸福を求めないといけない状況になった。自分の人生を切り拓くためには人生のテーマと自分の考えを持ち、人生を構築していかなければならず、それには読書を通じ知識をインプットし、深く論理的に思考することが必要である。

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第1章 本を読むと、何が得か?

自分の付加価値を上げるために読書は有効な手段である。様々な体験をすると人間は成長できるが、全てを体験出来るわけではない。そこで読書という個人的な体験が複眼思考や疑う力といった能力を伸ばし成長できる。

読書をすると具体的には想像力、集中力、バランス感覚が身につく。テレビやネットといった受動的な体験は認識が早すぎて考えることが少なくなる。文字といった限られた情報の場合、そこで想像力を働かせながら理解していく。集中力に関しては本という物理的な一つのまとまりを読むことで集中力が養われる。また、ゲームやインターネットなどのバーチャルな世界に長時間いるとゼロか100、白か黒、○か×といった二者択一の関係しか築けない危険性がある。子ども時代は友達と外で遊ぶことで危険性を認識し、人間関係の「距離感」を学び、読書で世界観を広げることができる。

第2章 読書とは「他人の脳のかけら」を自分の脳につなげること

成熟社会では「ジグソーパズル型思考」から「レゴブロック型思考」へシフトしなければならない。みんな一緒の解答ではなく、一人一人が自ら納得する解答を作り出す必要がある。脳のレゴブロックを積み上げるためには脳の拡張が必要である。人は様々な本を読むことで脳に受容体(フック)を作り出す。多くの種類の本を読めば色々な受け止め方(受容)ができるようになる。受容体が増えていくと読書をすることで他人の脳のかけらをつなぐことができ、脳は拡張していく。そして他人の脳のかけらをたくさんつなぎ、世の中の「見方」と「味方」を増やし信頼や共感を多く得られることになる。

第3章 読書は私の人生にこんなふうに役立った

本を読まない子ども 親が読ませたい本と子どもが読みたい本は違う。本の世界に自分自身を投影できるかどうかが面白いと思うポイント。

純文学 現代社会を生きる人間の心模様が読み取れる。悩み・いらだち・不条理を言葉で表現していることに対してリスペクトする。

社会に対して自分の意見を持つ 社会全体を見て自分の意見を伝えるためには見識が必要であり、見識は多くの本を読むことで蓄積される。

人生の鳥瞰図 人間にはどこかに欠落している部分があり、多くの人はそれが何であるのかわからない。読書でさまざまな人物の視点を獲得していき、人生を鳥瞰図として見ることができるようになれば、複線的に生きることができるようになる。主軸となる組織だけでなく、2つくらい別々のコミュニティに自分の足場を作っておいたほうがいい。一つの失敗から視野狭窄に陥って絶望を感じないよう戦略を変えたり、逃げ道を作ることが必要である

第4章 正解のない時代を切り拓く読書

正解を当てる「情報処理力」から納得解を導き出す「情報編集力」へ移行する。

これからの時代はすでにある要素をどのように組み合わせて価値を生み出すかが問われる。教育的観点から言えば小学校なら情報処理力に9割、情報編集力に1割の時間を充てる。中学校では7割と3割、高校では半々、大学では9割を情報編集力に集中させる。情報編集力を高めるために以下の5つの力をつけなければならない。

①「コミュニケーションする力」・・インプットする科目(国語・英語)人の話をよく聴くこと

②「ロジックする力」・・ロジカルに分析する科目(算数・数学)自分の行動に筋が通っているか意識する、理詰めで説明する。

③「シミュレーションする力」 実験する科目(理科)つねに先を予測して行動してみる

④「ロールプレイングする力」・・(社会科)歴史上の人物を追体験し、社会の仕組みや役割を学ぶ

⑤「プレゼンテーションする力」・・(音楽・美術・体育・技術・家庭)自分の思いをわかりやすく性格に伝える

5つの力とともに複眼思考(クリティカル・シンキング)を磨き情報編集力を高めていかなければならない。

新聞やテレビなどあらゆるメディアは組織の「特定の方針」に沿ってメッセージを発する。すべてを公平で正確な情報と判断せず、ある意図を持って編集した情報であることを理解しなければならない。物事を表面的に捉えず、多面的に捉え自分の意見を持つためにはできるだけ多くの考え方に触れることが重要であり、読書が大きな役割を果たすことができる。読書によって考えをブラッシュアップしていく事が必要。

第5章 本嫌いの人でも読書習慣が身につく方法

ベストセラー本にはそれなりの理由がある。その人の読む時期や環境によって本の受け止め方は変わるが、人間は常に変化している。時を経て理解できることもある。おもしろくない本でもその時代の意識のかけらを読み取ることができる。

数をこなして必要な本を見つける。習慣化した乱読はおすすめ。

子どもが本を選ぶ時には本の表紙を見せることが有効である。手にとってもらいやすい環境を作り、読書を習慣化していくことが大事である。また小学校高学年から高校生の頃は自分の世界を育てていく重要な時期である。しかし家庭で読書をさせようとしても反発心が出てくるので、学校で「10分読書」など半強制的に読書の時間を作ることも有効である。

読書は途中で飽きてしまわないように読書後に「アウトプット」すると良い。本を目的を持って読み、自分の意見をまとめることで論理性が磨かれていく。読んだつもりにならないようにする。

携帯やスマートフォンから離れ、読書習慣があるということは、単なる生活習慣の排除と追加ではなく、生き方の選択である。

感想

この本に書かれていたように、本を読むことは他者の思考を得ることであり、それは社会に出て自分の意見を持つためにとても役に立つ。

様々なエンターテインメントが充実している現代社会においては読書の価値が低下している。

ただ、読書の効果は永遠に変わらない、それを選んできた人、選んでいく人は成長の可能性を自分でつかみ取っている。

読書で手に出来る物は目に見えないけど、自分の中に確実に積み上がっていて、より良い選択ができるようになっていると信じたい。

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